2 新たな商品・補償の開発

2.1 個人向け感染症リスク

問題1 ある保険会社は特定の感染症(*1)に感染した際の入院・治療等にかかる費用を補償する個人向け保険の開発を検討している。当該商品の開発時に留意すべき点について、補償内容・引受方針・料率設定等の観点からアクチュアリーとしての所見を述べなさい。

(*1)新型コロナウイルス感染症のような世界的に感染拡大のおそれがある感染症を想定している

問題1コメント 新型コロナ感染拡大により各保険会社がコロナに関する新たな商品を開発した。社会環境の変化に応じて商品を開発・提供していくことは保険会社が果たすべき重要な役割であるが、コロナ保険は想定外の感染拡大等により結果として補償の削減や売り止めを余儀なくされたケースもあった。社会に対して適切な補償を提供しつつ、収益性・財務の健全性を確保していくためには事前の慎重な設計が必要であり、アクチュアリーが果たすべき役割も大きい。

参考:株式会社justInCaseに対する行政処分について

2.2 インデックス保険

問題2 ある保険会社は近年の自然災害リスクの高まりを受け、新たにインデックス保険(*1)の保険の開発を検討している。当該商品の意義について、消費者・保険会社それぞれの視点から整理をしたうえで、開発にあたり留意すべき点について、アクチュアリーとしての所見を述べなさい。

(*1)損害と因果関係のある指標(震度や最大瞬間風速など)があらかじめ定めた基準を満たした場合に所定の額の保険金を支払う保険

参考:保険商品審査事例集 令和4年1月

2.3 インターネットチャネル向け商品

問題3 ある保険会社は現在自動車保険、火災保険、傷害保険などの個人向け商品を代理店経由で販売している。今般、デジタル技術の進展やデジタルネイティブ世代の出現といった社会環境の変化を踏まえ、スマートフォンアプリ経由での商品販売を検討している。

商品検討および販売にあたり留意すべき点について、商品設計(種目・補償内容・保険期間等)、料率設計、販売方針、販売開始後の収益管理等の観点からアクチュアリーとしての所見を述べよ。

参考:H27年度アクチュアリー試験 損保1

2.4 不正請求の防止

問題4 ある保険会社は自動車保険や火災保険における修理業者からの不正請求を防止する観点で、事故時に保険会社指定の工務店・修理工場を利用することを条件に保険料の割引を行うという商品の開発を検討している。当該商品を開発するにあたり留意すべき観点について、アクチュアリーとしての所見を述べなさい。

問題4コメント 火災・自動車等における悪徳修理業者による不正請求は契約者保護および保険制度の安定的運営のために防止すべきものである。損害実務における適切な査定だけではなく、不正請求防止に資する商品・料率の設計はアクチュアリーに求められる役割の一つといえる。

参考:保険商品審査事例集 令和5年2月